2020年7月からレジ袋が有料化され、約3円がレジ袋を利用する際に必要となります。このレジ袋有料化はプラスチックゴミを削減することを目的に実施されたものですが賛否両論あるようですね。しかし、この記事ではそのようなレジ袋はプラスチックゴミ削減につながるのか?という議論はしません。それよりも、レジ袋有料化による売上に対する影響について書いてみたいと思っています。
というのも、このレジ袋有料化はコンビニなどの小売店の売上を減少させる可能性があると考えているからです。先日私は下記のような経験をしました。7月に入りレジ袋が有料化されることを知っていた私はコンビニに入りいくつかの商品をカゴに入れてレジに並んでいました。するとふと思ったのです。
「これ両手で持ちきれないなぁ。レジ袋が有料化されたから少し商品減らしておくか」
私はいくつかの商品を棚に戻し、両手に持ち切れるだけの商品を残してレジに並び直したのです。「たった3円じゃないか」と言われるかもしれません。しかし、私にはこのたった3円であってもお金を取られるという事実は変わらないわけで、有料という言葉の重さを感じたのです。有料と無料は決定的に消費者心理に与える影響が違うのだと思った瞬間でした。
一般的にも消費者の反応は、ちょっとしたことで変化すると言われています。例えば、商品価格を「消費税込の総額表示」した場合と商品価格を「消費税抜の表示」で記載した場合とでは、消費税抜きの表示のほうが売れる傾向があると言われています。ほんの数十円ですが、多くの人がちょっとした価格差に敏感になっていることを表しています。私たちは想像以上に価格に敏感なのです。ちょっとした価格差によって行動が変わってしまうのです。
私がコンビニで経験したことも同じようなことが言えると思っています。レジ袋が有料化されたことにより、1つ考えることが増えたのだと思います。つまり、レジ袋の有料化は
「両手で持ち切れるならレジ袋はいらないなぁ」
という心理を私の心に浮かび上がらせる原因となったのです。レジ袋の有料化は確実に消費者心理に影響を与えているのです。毎日のように買い物をする主婦であればエコバックを用意するかもしれません。しかし、どこに行くにもエコバックを持っていくわけではないわけで、たまたま別の用事で通りがかったお店で買い物をすることもあります。そのようなときは、私が経験したような心理状態になる可能性は大いにあるわけです。
そのような人たちは、全国に一体どのくらいいるでしょうか?定期的な買い物ではなく、偶然通りかかったお店での軽い気持ちでの買い物客は相当数いると思われます。そのような人たちからの売上は減る可能性は多いにあると考えても差し支えないのでは?と思っています。特に定期的に買い物に来る客が多いスーパーではなく、偶然通りかかった初めてのお客さんの割合が多いコンビニなどは影響を受けやすいと考えられます。
また、若年層の男性などはエコバックを持ち歩かない傾向が強いと勝手な想像ですが考えています。そのような男性がよく立ち寄るコンビニは、「両手に持ち切れる量の買い物をしよう」という心理が多少なりとも働くわけです。そのような心理状態になった分だけ、売上の減少になると考えることはおかしなことではないような気がしています。
今回のレジ袋有料化は、マーケティング担当者としてもこの変化が消費者に対してどのような思考と行動の変化につながるのかについて知る良い機会だと思います。コンビニやスーパーの売上が7月以降でどう変化するのかについて注視したいと思います。
また、マーケティング担当者としてはちょっとした変化で消費者行動が変わるということを再度認識すべき機会になったように感じます。消費者の行動の変化は、別に価格に限ったことではありません。広告やパッケージ、クチコミなど様々な方面からの影響を受けながら最終的な購買に至っているのが消費者です。それら要素が変わるということは、消費者の心理を変化させ行動を変化させることになるということを再認識させられます。
そして、マーケティング担当者としては、どの要素をどう変化させれば、自社の商品を選んでもらえるのか?を今回の変化に当てはめ考え直してみる機会になったのではないでしょうか。実は、ちょっとした変化だけで大きな成果を生み出すことが出来るかもしれません。それを発見出来たときの喜びは大変大きなものですね。ぜひ、頑張ってください。