マーケティング

【マーケティング担当者必読】消費者のクチコミ活用方法と企業のクチコミ施策の考え方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

クチコミが売上に影響を与える時代になってきたことは明らかです。企業がどんなに自社製品サービスの魅力を上手に語ったところで消費者には以前よりも効果的ではなくなってきています。現代の消費者は、多くの広告宣伝にさらされ続けたことで企業からのメッセージをそのまま受け取るようなことはなくなり、知人友人や実際の購入者からの情報を以前よりも重視するようになってきました。

そのような時代の変化に適応すべく企業もクチコミ施策として様々な取り組みを行ってきています。しかし、当然のことですがクチコミを広げればどんな企業でも効果を期待できるというわけではありません。クチコミ施策によって効果を上げた企業もあれば、クチコミ施策を実施しても効果がなかった企業もあります。その違いはどこにあるのでしょうか?

結論から言えば、クチコミというものが効果を発揮するのは顧客の状態によって違うという点にあります。つまり、クチコミというのは購買意欲の高い人から購買意欲が低い人まで全てに効果を発揮するわけではないということです。

その根拠になるものとしては私の実感とどこかの本に書いてあった内容によるものです。なので決して確実なことでは無いのでその点には注意していただきたい。ただ、私の実感としては肯定的なクチコミと言うのは購買意欲の高い人にはリーチするが、インパクトは決して高くないと感じている。一方、否定的なクチコミと言うのは購買意欲の低い人たちにリーチするが、購買意欲の高い人たちにはインパクトを与えない傾向があると考えている。図にすると下記のようなものになる。

このような傾向から読み取れることは企業の課題が購買意欲の高い人にリーチをさせたいと言う場合においては、クチコミ施策は有効に効果を上げることを期待することができる。また購買意欲の低い人にインパクトを与えたいと言う場合にもクチコミ施策は有効に働くと考えることができる(ただ、ボリュームは圧倒的に少ない)。しかし、企業課題が購買意欲の低い人にリーチさせたいであるとか、購買意欲の高い人にインパクトを与えたい、といった場合にはクチコミ施策と言うものはあまり効果を発揮するとは考えられないと言うことである。

「購買意欲の高い人にリーチさせてたい」場合にクチコミが有効に働く理由として考えられるのは、いわゆる確認行動であると考えられる。既に何らかの理由によって購買意欲が高まった人は、自分自身の判断が間違いではないことを肯定するために情報収集するようになる。そのために肯定的なクチコミを探し閲覧することで間違いではないことを確かめるのである。結果として、購買意欲の高い人にリーチするためにクチコミ施策が有効に働く。

「購買意欲の低い人にインパクトを与える」場合にクチコミが有効に働く理由は分かりやすいだろう。それまでの自分自身の認識と違う人に出会うことで認識が変化するからである。しかし、このように認識が変化する人のボリュームは非常に少ない。上述のように、肯定的な口コミを積極的に探し出そうとしてないからであり、たとえ肯定的なクチコミに出会ったとしても人間はそう簡単に認識が変化するわけではないからである。

次に「購買意欲の低い人にリーチさせたい」場合にはクチコミが効果的ではない理由は上述の通りである。購買意欲が低い人はそもそも肯定的なクチコミを探していないし、肯定的なクチコミを見ても相当な理由がなければ認識を変えることはないからである。

また、「購買意欲の高い人にインパクトを与えたい」場合にもクチコミが効果的ではない理由も上述と重なる。既に購買意欲が高い人にとってクチコミは自分自身の判断の確認作業に過ぎないからだ。クチコミによってさらにインパクトを与えて一気に購入にまで導きたいと企業は思うかもしれないが、そう簡単ではないということだ。

消費者にとってクチコミとは何なのか?を少し理解出来たのではないだろうか?クチコミはあくまで自分自身の判断を確認するためのものであるということであり、クチコミ施策をすればどんな消費者でも効果を発揮するわけではないのである。また、クチコミによって認識を変化させるほどのパワーはクチコミにはないということも重要である。認識を変えることはそれほど簡単なことではない。

多くの企業がクチコミ施策に対してどんな特徴があり、どんな顧客に有効なのかについて考えずに実行しているように感じる。しかし、それはあまりにも軽率なのではないだろうか?どんな施策にも得意不得意や効果を発揮するための条件というものがあるわけで、それらを検討せずにむやみに施策を実行することは良い結果を生まないばかりか、施策を実施したことによる有益なデータも取得することが出来ない。

企業のマーケティング担当者は、多くの施策の特徴を十分に把握し、自社の課題との相性を十分に検討する必要がある。近年、マーケティングに取り組む企業が増えてきているが、ほとんどの人が手法に振り回されているだけで自社の課題に正面から向き合い正しいプロセスで解決しようとする企業はほとんどない。一つ一つの課題の特徴と自社の課題をキチンと把握するという基礎的な部分をまずは強化して欲しいものである。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る