口コミ施策に大きな期待を抱く人は多いだろう。多くのコストをかけずとも、自社商品が拡散していくのであるから費用対効果として高いと考えるのは当然かもしれない。
しかし、口コミ施策にも意味のない施策は沢山ある。特に、口コミの対象者を間違えると期待するような成果を上げることは出来ない。例えば、自社の優良顧客に口コミで広げてもらえるような施策を実施したとしよう。しかし、このような優良顧客を対象とした口コミ施策は非常に効果は少ないことが多い。なぜなら、圧倒的に優良顧客はボリュームが少ないからだ。
一般的に、口コミを広げるためには自社製品に高い好印象を持っている優良顧客を対象とするのが最も効率的だと思っている人が多い。確かに、自社製品についてよく知らず大して好印象を持っていないような人よりは優良顧客の方が効果的に感じられる。また、実際優良顧客から紹介されて顧客になる人も一定数いることを考えれば、口コミ施策を展開する対象としては優良顧客が一番良いと考えても不思議ではない。しかし、そのボリュームについて検討しないことも不思議でならない。
以前の記事でも書いているが、基本的に優良顧客と呼ばれる人は自社が想定しているよりも圧倒的に少ない。企業が優良顧客だと思っている人の殆どは、偶然その年に例年より多く購入した人が優良顧客になっただけであり、本当の意味でのロイヤリティを持っているか?と言われればNOである。実際、調べてみると企業が優良顧客として定義した人たちは数年後には殆どが入れ替わっている。
優良顧客は想定しているよりもずっと少ないことを前提として話を進めよう。例えば、優良顧客(本当の意味でロイヤリティが高い人)が御社に100人いたとしよう。それらの人が、年に12回以上周囲の人に自社製品を勧めるとする。その場合、1200人の顧客にリーチすることになる。また、10,000人のライトユーザーが年に1回周囲の人に勧めたらどうだろうか?10,000人の見込顧客にリーチする可能性がある。
そして、ライトユーザーの成約率が5%、優良顧客は10%としよう。すると、優良顧客は120人の顧客を獲得する計算。そして、ライトユーザーからは500人の新規顧客を獲得することが想定できる。一体どっちに口コミ施策を展開すべきかは明らかだろう。
また、口コミが広がる時は、そもそも一定のボリュームの人たちが発信しなければ意味がない。数百人が発信しただけでは拡散は起きないのが普通だ。上記で10,000人が1回発信することを想定して10,000人の見込顧客にリーチすると言ったが、実際にはそれ以上の効果を期待できると考えてよい。というのもその口コミをまた他の誰かに発信する可能性が高いからだ。しかし、100人の人が何度発信しても一人がリーチできる範囲は狭く口コミは広がりにくいのだ。
あなたの会社の顧客構成はどうなっているだろうか?もし、口コミ施策をするのであればボリュームが最も大きい人たちを対象とした口コミ施策を実施する方が効果は期待できる。もちろん、ライトユーザーがどのくらいいるのか?成約率をいくつにするのか?によるが、普通はライトユーザーから口コミを発生させた方が効果的になることが多いのが普通だ。
ぜひ、ご検討いただければ幸いだ。