マーケティング

情報が少なくても出来る「パーソナライズのコツ」【マーケティング担当者必見】

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今、世の中には「パーソナライズ」が溢れています。

特にデジタル領域におけるパーソナライズはAIの活用によって非常に進化してきました。アマゾンのおススメ本に代表されるパーソナライズはお客様の満足度を高め企業にさらなる売上をもたらす1つの手法になってきています。

しかし、多くのデジタル分野における投資が出来ない企業にとって、パーソナライズはまだまだ未知の領域です。また、テクノロジーの進化によってこれまでよりも低い金額でパーソナライズが出来るようになったと言っても、情報が圧倒的に不足しているために、精度を高めることが出来ていない企業も多く存在することも事実です。

そこで今回は、いかにパーソナライズを実施すべきなのか?という「パーソナライズのコツ」について考えてみたいと思います。

一般的にパーソナライズは、その人の好みを把握することで、その好みを基準として製品サービスをおススメするのが基本です。そのため、お客様のアンケート内容や閲覧履歴・購入履歴などからその好みの軸を見出す必要があります。しかし、この軸をしっかりと把握できるまでの情報量は、ほとんどの企業は持ち合わせていません。それは上述したようにデータが明らかに不足しているからです。結果として、パーソナライズ専門の企業が提供するサービスを導入しても、なかなか成果を高めていくことが出来ない企業が多いのです。

パーソナライズをどのような考え方で実行すべきか?

では、どのようにパーソナライズを考えれば顧客満足を高め、売上を向上させることが出来るのでしょうか?ここでは例にもれず先人たちの研究を参考にすべきです。過去の研究によって、下記のようなことまで分かってきているのでその研究の概要を下記に記すことにします。

過去の研究では、パーソナライズは対象の製品サービスについて「利用経験の少ない人」と「利用経験が多い人」ではパーソナライズの仕方を変えるべきと結論付けています。

例えば、「利用経験の少ない人」にパーソナライズする場合は、その人の好みの商品サービスに近しい商品サービスよりも、少し遠い商品サービスをパーソナライズしたほうが、満足度は高まり売上が上がるとされています。例えば、あるズボンを購入したことのある人に、近しい色や形・種類のズボンをパーソナライズするよりも、少し異なる色や形・種類の商品をパーソナライズしたほうが満足度は高く売り上げが上がるということです。

一方で「利用経験の多い人」にパーソナライズする場合は、その人の好みの商品サービスに近い商品サービスをパーソナライズしたほうが満足度は高まり売上が上がるとされています。つまりは、購入経験のある製品サービスに近しい商品サービスをおススメしたほうが良いということです。

なぜこのような結果になったと思いますか?これは利用経験が少ない・商品サービスに対する知識が少ない人にとって、「こんな商品もあるよ」「こんな使い方もあるよ」と紹介されることは、その分野の知識が高まり「新しい発見があった」と感じさせるからだと言われています。

一方で、利用経験が多く・商品サービスに対する知識が多い人にとっては、自分の好きな軸や基準というものは既に定まっているために、少し遠い提案をされても満足しません。利用経験が多いために、自分自身が満足できる範囲をよく知っているのです。だから、その範囲の中で少し違う商品サービスをおススメすることが大切なのです。このような嗜好性や自分の好みの判断軸がしっかりしている人に対しては、逆にその判断基準に沿ったパーソナライズすると非常に高評価を得られやすいということでもあります。

また、ある研究ではおススメする商品サービスは、同じカテゴリーの商品サービスにするべきとしています。利用経験の少ない人におススメする時、少し遠い商品サービスをおススメしたほうが満足度も売上も上がるのであれば、購入したズボンによく合うシャツをおススメすることも良いのでは?と思った人がいるかもしれません。しかし、実験の結果としてはあまり良い結果が出ていません。なぜなのかは詳述されていませんが、おそらくは興味の対象から離れすぎているからだと考えらえます。もしかすると、シャツとズボンを両方閲覧している場合には、ズボンに合うシャツをおススメしても問題ないのかもしれませんが、ズボンしか見ていないのであればシャツをおススメするのはやめておいた方が良いようです。

以上のように、パーソナライズは対象となる商品サービスの購入経験や知識の多さによってやり方を変えていくことで改善することが出来るのです。事前のちょっとしたアンケート(これまでの購入経験など)の情報だけでどうパーソナライズすべきかが大体は分かるということです。なので、情報量が少なくてもお客様の経験値だけを知っておくことが出来れば、これまでのパーソナライズよりも成果が期待できるということになります。どのように情報を取得するのか?という課題はあるにしても一気にハードルは下がったのではないでしょうか。

ここまで読んで頂ければ、この考え方は「別にデジタルに限った話ではない」と感じた人もいるのではないでしょうか?まさにその通りで、店舗の店員もこのような考え方を基本に接客することが出来るはずですし、実際に実践していると考えられます。以前、ある人が効果的なデジタル施策のヒントは現場にあると言っていましたが、まさにその通りなのではないでしょうか?

何かに行き詰ったときには、リアルな現場に立ち戻り考え直すことも一つのやり方なのだと思います。

参考になれば幸いです。

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