コロナ禍によって、対面営業が難しくなってきている中で多くの企業がメルマガの配信に力を入れているようです。先日、Hubspotが発表した数値によると149%以上もメール配信の量が増加していると報告されています。
とはいえ、メルマガは説得力という意味において対面営業に絶対的に負けるわけで、あまり過剰な期待を持つことは禁物です。しかし、ここまで追い込まれてしまった以上メルマガで最大限の効果を導き出そうとするようになるのは当然と言えば当然かもしれません。
しかし、メルマガというのは昔から言われているように、説得力は低いというのが一般的な認識であり、メルマガによって興味を持ってもらえるようになるという人はほんの一部です。少し前には「メルマガによってナーチャリング出来る!(顧客育成する)」と息巻いていた企業がたくさんあったものですが、今はもうそんなことを言う企業はなくなってしまいました。メルマガには顧客の意識を変化させるような力は「思っていた以上にない」というのが多くの人に共通する認識ではないでしょうか。
今では、あくまでメルマガは自社のことを忘れさせないためのツールであり、選択肢の1つとして長い間お客さんの頭の中に残り続けるために活用するのが良いというのが一般的な認識になってきたように感じます。
しかし、それも半分嘘のような気がするのは私だけではないと思います。実際メルマガによって多くの成果を出している企業があることは確かであり、努力次第では思っていた以上に効果のあるツールになることもあると私は思っています。
彼ら成功者と効果の上げられない普通の企業では一体何が違うというのでしょうか?今回はそのことについて考えてみたいと思います。
私は、メルマガで成果を出すために最も重要な要素は「リスト」だと考えています。世の中にはメルマガで成果を出すために「タイトル」「本文」「配信タイミング」などについてテクニック論が盛んに議論されていますが、個人的にはそのような小さなテクニック論は「リストの良し悪し」によって大きな影響を受けると考えています。
例えば、ターゲット層の多くが注目するようなタイトルを考え出し、文章や画像を上手に作成し、最も効果のありそうな時間帯に配信したとしても「リストが悪ければ反応も悪い」のは当然のことです。自社製品を購入する可能性のない人達にどんな素晴らしいメルマガを配信しても意味がありません。
しかし、多くの企業はそのことを知っていたとしても中々その改善に取り組むことが出来ません。何故でしょうか?なぜ、多くの企業は最も成果に寄与する要因を改善しようとせず、小手先のタイトルや文章などに多くの時間を費やしてしまうのでしょうか?
それは多くの企業が、リストの獲得はメルマガ配信担当部署の役割ではない場合が多いからです。殆どは、イベントなどで集めた名刺であったり、営業マンが名刺交換した情報であることが殆どで、メルマガ配信先はそのような見込顧客に配信されるのが普通だからです。また、オウンドメディアを持っている企業であってもオウンドメディアの記事を作成して効果検証しているのは別部署であることが多いのが現実でしょう。つまり、メルマガで最も効果が左右される要素は、メルマガ配信部署では関わることが出来ないのです。
このように会社の組織構成がメルマガの効果は最大化することを阻害しているために、メルマガチームがどんなに頑張っても効果を上げることが出来ないというのは意外と多くの企業が陥る状況だと言えます。
一方で、メルマガで成果が出ている企業というのは、そのあたりが非常にうまく組織されているものです。メルマガのリストをどこでどのように獲得すべきかをメルマガチームも含めて議論出来ています。営業やイベント担当・オウンドメディア担当と密にコミュニケーションを取っており、メルマガ効果を最大化するために何が必要か他の部署の人が良く知っているのです。結果として、各部署が適切に動いて適切な施策をしてくれるおかげでメルマガの効果が最大化されるようになっているのです。
マーケティングというのは、本来商品や企業の売上・利益を最大化させるための全体的な働きのことであり、1つの部署だけが頑張れば成果が出るような類のものではありません。マーケティングは、各部署の力を上手に組み合わせることで施策の効果を最大化させるための仕組みづくりのことなのです。
メルマガの効果を最大化することが売上・利益に大きな影響を与えるのか?ということを十分に検討する必要はありますが、基本的にメルマガ部署が頑張れば頑張った分だけ成果が出るわけではありません。複数の部署との良好な関係と各部署同士で貢献しあう関係性がリストの質を高め、結果的にメルマガの成果が高まっていくのです。
メルマガ施策が上手くいっている企業とそうではない企業の決定的な違いは考うところにあるのです。
メルマガは、何か小さな改善を繰り返していけば良くなっていくような一般的な認識がありますが、決してそうではありません。小さな改善ももちろん必要ですが、それよりもリストの質に注目すべきであり、リストの質を高めるために他部署との良好な協力関係を構築することにも時間を割き改善していくことも大切なのです。
少し、メルマガ配信の業務について考えなおしてみてはいかがでしょうか?参考にして頂ければ幸いです。