マーケティング

市場が拡大しない時代。マーケティング担当者が持つべき考え方

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「事業を大きく成長させたいのであれば、成長している市場を選べ」と言われます。それは、急速に成長する企業は、ほとんどの場合が成長市場に属しているからであり、成長していない市場に属している企業が急速に成長するということがほとんどないからです。つまりは、事業が大きくなるかどうかは、その市場の魅力度に大きな影響を受けているわけです。近年で言えば、IT業界が成長市場に該当するでしょう。日本においても、時価総額ランキングではIT関連企業が多くランクインしていることからも明らかです。

しかし、その「市場がなぜ成長するのか?」については、語られることはあまり多くありません。そのため「市場がなぜ拡大するのか?」という疑問に答えることで、別の視点からモノゴトを見ることが可能になるのではないでしょうか?そして、これから成長する市場を見極めるためのヒントになるかもしれません。

市場の拡大要因は「人の感情・心構え」にある

なぜ、成長する市場があるのか?そして、逆になぜ、成長しない市場があるのでしょうか?私は、お客様の「心構え」の変化に原因があると考えています。市場が大きくなっていくときのお客様の心理や心構えというのは、その市場のプロダクトを受け入れる心構えになっているものです。一方で、成長しない市場のプロダクトに対して、お客様の心構えというのは、そのプロダクトを受け入れる心構えになっていない状態であると考えられるのです。

例えば、Amazonは昔は書籍のみを販売するネット通販会社でした。当時は、正直なところあまり儲かっていませんでした。一時期は赤字続きでどうなるか分からないような状態であったことを知っている人も多いはずです。なぜ、Amazonはそこまで苦戦したのでしょうか?それは、人々がネットで本を購入する心構えが出来ていなかったことが大きな原因です。そもそも、本は本屋で買うものであり、本屋は街中に存在するような状態でわざわざ数日間待ってまで購入する意味を多くの人が理解することが出来ませんでした。習慣化されたことを辞めるのはそれなりにハードルが高いのです。このようなお客様の心理状態において、Amazonはあまり大きな成長をしているわけではなかったのです。

しかし、ネットでモノを購入することが当たり前のこととして認識されるようになればなるほど、Amazonの売上は伸びていきます。つまりは、これまでのネットで本を購入することに対する理解が広まったと同時に、本だけでなくあらゆるものを販売するようになったことも大きな成長につながったわけです。ある意味、Amazonだけの1社の努力だけで売上が伸びたというよりも、A他のネット市場が拡大したことがAmazonに大きな追い風になったと言えるのです。

一方で、Amazonのスマートスピーカーである「Alexa」はどうでしょうか?このスマートスピーカー市場は未だ停滞していると言わざるを得ません。この市場も以前のAmazonと非常に似ています。多くの人がスマートスピーカーを保有するメリットを理解しきれていないのです。あえて声で操作するよりも、既に習慣化されている方法(リモコンでの操作)の方が楽だからです。もし、このスマートスピーカーの市場が拡大するのであれば、人々の認識や心構えが変化する必要があります。正直なところ、Amazon1社がどんなに努力しても、人々の認識を変化させることは出来ないでしょう。変化するのであれば、多くの企業がスマートスピーカー市場に参入し、スマートスピーカーを持つことが当たり前だよねと思われるような市場全体の努力が必要になります。

しかし、今のところそのような傾向はありません。競合はGoogle HomeとLINE社くらいですので、いまいち市場が成長するような感触が持てません。個人的には、テレビメーカーがスマートスピーカー機能を付けるようになると市場全体は急激に大きくなると思いますが、そのような動きはないようです。

いずれにせよ、市場拡大は、企業単位の努力でどうにかなるようなものではありません。上述してきたように市場が拡大するかどうかは「人々の考え方や認識・心構え」が市場とマッチするかどうかに他ならないのです。つまり、事業を大きく成長させたいのであれば、「人々の心理状態や考え方・心構えの変化」を見極めろということです。今後、人々の心理がどう変化しそうかをスピディーに察知し、すぐに対応していく。その努力が成長市場をいち早く見つけ出し、その波に乗って事業を大きく成長させることが出来るようになるのです。

企業のマーケターはどう対応すべきか?

こんなことを言うと「絶望感しかない」と感じる人も多いのではないでしょうか?それはそうでしょう。自分たちの努力によって市場は大きく成長するわけではなく、市場の成長は「人々の心理状態にかかっている」というのですから、企業としては努力する意味を見出すことが難しくなります。しかし、そんなガッカリする必要もありません。決して自社努力が自社の売上の増加に寄与しないわけではないからです。

もし、あなたの会社が属する市場が、あまり拡大していないとします。そのような場合、上記に記載したように中々あなたの会社のプロダクトのメリットを理解してくれる人は少ないでしょう。会社としてはどのような施策を打つべきでしょうか?

これまで記述してきたことを踏まえると、まず何よりも人々の心理状態を知ることが大切になります。いわゆる「As-Is」を明確にすることです。そして次に、どのような心理状態になってくれることが自社プロダクトを購入してもらうために必要なのかを考えます。つまりは「To-Be」です。きっと「As-Is」には色んな心理状態の人がいるはずです。そして、それぞれの心理状態の「To-Be」は違うはずです。また、各々の現在の心理状態の中には、変化させることが非常に難しい人も、比較的容易な人もいるはずです。なので、態度変容が容易な人を見つけてください。まずは、攻めるべきは態度変容が容易な人です。その態度変容が容易だと思われる人のボリュームも調べておきましょう。

次に考えるべきは、その態度変容が容易だろうと思われる人にどのような施策を打つことが効果的なのかを考えることです。きっと色々あるはずです。コストの問題や自社では出来ないこと出来ることがあるでしょう。その中から可能な限り施策を実施していってください。

そう考えることで、心構えが変わっているかどうかを調査することも出来るはずです。つまりは、KPIも適切なものを設定できるようになっているはずです。そうすれば、どの施策が効果的なのかどうか、ターゲット設定がそもそも適しているのかを見極めることが出来るでしょう。

キャズム理論

ここまで書くと、あれ?どこかで聞いたことあるな?と思う人がいるかもしれません。そうです。私は「キャズム理論」に当てはめて書いたのです。「キャズム理論」とは、調べれば沢山記事が出てくるので詳しくは書きませんが、いわゆるアリーアダプターと呼ばれる人たちが購入してくれた後、プロダクトが浸透していくまでにキャズム(=溝)があるという理論です。そして、プロダクトが浸透していくためには、一部の業界や集団に特化したプロダクトに適応させ、その小さな業界・集団の中で徹底したシェアを取れと指南しています。結果、一部の業界・集団の中での評判が他の業界や集団に広がり、プロダクトが広く浸透していくという理論です。

上記で説明した「態度変容が容易な人」というのは、つまり一部の業界・集団のことを想定して書いています。あなたの会社のプロダクトを活用する上で、適切な心理状態になっている業界や集団もしくは、そんな心理状態に変化させることが容易な人たちがいるはずです。その人たちを見つけることが大切だということを言っているのです。そこを見つけたら徹底して攻めるべきということです。

そうすることで、徐々にですが売上は拡大し、市場も拡大していくのです。

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